母国で出会う異文化に戸惑わないために 〜逆カルチャーショックにどう備えるか〜
例えば、こんな話があります。
その子は、海外で幼少期を過ごした後に日本へ帰国しました。
ある日学校で、みんなが順番待ちしているところを、その子は列に並ばずにスッと横入りをしてしまった。
並んでいた子たちは、もちろん怒ります。「ちゃんと並びなよ」。
でも、その子は、自分がなぜ怒られているのかピンときません。
なぜなら、列をつくって待つという文化にそれまで触れてこなかったから。
幼少期に身につけた当たり前が、ある日突然変わってしまう。
そんな経験に戸惑い、日本に馴染めずに悩みを抱えることがあるんです。
“逆カルチャーショック”の悩み
このように、海外の習慣・文化・価値観に慣れすぎて、日本の生活に溶け込めないことを、“逆カルチャーショック”と呼びます。母国であるはずの日本に違和感を抱き、場合によっては悩みの種にもなってしまう。
「ちゃんと列に並んで待つ」といったマナーの他、人とのコミュニケーションの取り方、物事に対する考え方など、ギャップが生まれるポイントも様々です。
逆カルチャーショックによって周りの人と距離が生まれる場合もあります。そして、次第に自分が海外経験のある帰国子女だと隠そうとするケースも。幼少期の貴重な経験がネガティブなものになってしまうのはすごく残念ですよね。
でも、これは決して珍しくはないこと。海外から日本へと環境が変わる前に、家族の中できちんと考慮しておく必要があります。
言葉を覚えるだけでなく、文化を学ぶ経験を
「日本に帰国した時のために、日本語を身につけておこう」と、海外に滞在する児童向けの日本語教室を探す人は多いでしょう。
ただし、その際に気にかけていただきたいのは、語彙や文法を身につけるだけでなく、文化も一緒に学ぶべきだということです。自分が暮らしてきた国とのマナー、習慣、コミュニケーションの違いなどを知る機会をつくってあげてください。マナまなBeeのプログラムでもこの点は重視しています。
決して、海外の文化を否定して日本に合わせることを強いるわけではありません。自分が今いる国の文化、いずれ帰る日本の文化、それぞれの違いから子どもたちの世界を広げてあげることが肝心だと考えています。突然異なる文化と出会うとびっくりしちゃいますよね。知っていれば合わせられもするし、他の選択肢を選ぶこともできるかもしれません。日本の暮らしへのソフトランディングを後押ししてあげましょう。